小倉昌男 経営学

小倉昌男 経営学」という本を読みました。

ヤマト運輸の元社長が書いた本で、ヤマト運輸が企業向けの配送サービスから個人向け宅配(宅急便)に事業をシフトした(他の業種にも通じる表現を使うと、BtoBからBtoCってことですね)というエピソードについて書かれています。それについてちょっと詳しく知ってみたいと思い、読んでみました。

印象的だったところを1つ上げると、BtoCに事業を変えたことでドライバーの役割が変わったというところです。配送だけでなく集荷も行うようになり、まさに最前線で働くことになったということや、直接お客様から「ありがとう」と言われることでやりがいを持てるというエピソードが書かれています。

これをITエンジニアに置き換えてみると、エンジニアが直接お客様(一般消費者)と接点を持ってやりがいを持って活躍できるようなモデルってあるんだろうか。。。と考えてみましたが、そう単純に置き換えられるものじゃないですね。

とはいえ、お客様の声がダイレクトに届くとやりがいにつながるということについては、学ぶべきところがあるように思います。Webベースでサービスを展開していたり、「販売は営業」となっていると、仕組みを考えない限りなかなかお客様の声が開発者に伝わるということはないでしょうから。

さて、それ以上に気になった部分が、ヤマト運輸が個人向け宅配でうまくいったら、途端に35社も競合が現れたということです。

もちろんそのほとんどが撤退してしまったわけですが、それについては以下のようなことが書かれています。

  • ヤマト運輸は、配送の効率よく行うための全国網の配送ネットワーク整備(配送センターの配置や、個人商店を取次店にするなど)を行った上でやっているから質の高いサービスを提供できるし結果として採算が取れる。
  • そういったネットワーク整備は、一朝一夕に出来るものではない。
  • 裏側の苦労や工夫を知らずに、表面的に「個人向け宅配が成功しているみたいだからやってみよう」ということで参入してもうまくいくわけがない。

IT業界でも、さまざまな技術やコンセプト(*)、それを元にしたビジネスモデルが出てきていますが、成功企業が現れたとしても、上っ面の流行だけを追いかけると失敗することになるというのは同じなんでしょうね。

(*) ここ2〜3年ってことでいうと、Web2.0とかSaaSあたりがぱっと頭に浮かんできます。

小倉昌男 経営学

小倉昌男 経営学