スタバではグランデを買え
「スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学」という本を読みました。
一風変わったタイトルですが、経済についての本です。
とはいっても、純粋な経済学の本というよりは、経済という観点から世の中の様々な事象の合理性を説明しているものです。
コストについて
例えば飲食店(スタバとか)では、原価(材料費)の割合はそれほど高くなくて、人件費とか光熱費とかテナント代とかが、コストの大半を占めている。そのため、ドリンクの種類が高価なものになって100円とか高く販売されているものでも、原価はそれほど違わない(さいずが大きくなる場合も同様)。そのため、お店側としてはできるだけ高い商品の方が利益率が高くなるというお話。
これは、従来から特に意識することなく理解できていたことではあります。
私の場合は、純粋にコーヒーが好きで喫茶店に行くということは全く無く、空き時間に本を読んだりするために行くくらいです。
そのため、「コーヒーにお金を出している」というよりは、「本を読んで時間をつぶす場所を提供してもらう」ことにお金を出しているという意識が強いので、たいていは一番オーソドックスな(安価な)ドリンクを頼んでいます。
メーカーは、高いお金を出してくれる消費者にはできるだけ高く売ろうとする
これは、今まではぜんぜん意識していませんでした。
携帯電話の価格体系も、DVDが発売直後は高いけどだんだん安くなっていくということも、この理屈から説明できるとのことです。
最近だと、PlayStation3が値下げしましたけど、それもこの論理に基づいてのことなんでしょうね。
もちろんPS2との互換性を切ったから値下げできたという部分もあるんでしょうが、それ以上に、5万円以上出してでも買ってもいいという消費者にはだいたい行き渡ったと判断したので、値下げして3万円台なら買ってもいいという消費者にも売り始めた、ってのが主な理由なんでしょう。
比較優位について
組織の中において、自分が相対的に優位を持てるものが必ずあるはずで、その部分(比較優位)を生かすようにすることが、組織のパフォーマンス向上に有効だというお話。
今の会社で自分が持っている比較優位を考えると、「技術力」ってことになるんだと思います。
ただしこれは、「B to BのWebアプリケーションパッケージを作っている中堅ソフトウェアベンダー」という組織においてはそういう比較優位になるということであって、技術系の会社で活躍している人たちと比べれば、私の「技術力」なんて全く歯が立たないと思います。
「技術力」について比較優位を持っているということは、いい面もあれば(責任のある立場で仕事が出来る)、悪い面もある(周囲に刺激を受けて技術力向上する機会が少ない)のですが、自身のキャリア形成においてこの比較優位という考え方を生かして生きたいと思います。
例えば、転職することを考えるとして、「技術力」では比較優位を取れない会社にあえて行くのも1つの案かもしれません。