IT業界が魅力的なものになるためには

6月11日号の日経コンピュータで、「「高度IT人材育成」その理想と課題」という記事があって、そこに経団連の提言からの引用として以下のようなことが書かれていました。

ソフトウェア(組み込みソフトウェアを含む)の開発・利用に携わる情報サービス産業の競争力は、わが国産業の全体の国際競争力にも大きな影響を及ぼすようになってきている。情報サービス産業の競争力は人的資源の質に大きく依存しているが、現在、情報サービス産業における高度ICT人材の質・量の不足が深刻になっていると言われており、今後のわが国のIT化のアキレス腱となることが懸念される

以前、「日本の将来への危機感」というエントリーを書いて、ソフトウェア業界での国際競争力の低さ(輸入過多)があるので日本の将来はやばいかもしれないと書きましたが、ど素人が考えるまでもなく、いちおうは経団連としても危機感は持っているということですね。

記事の内容は、他国の事例の紹介や、日本の大学のIT教育の問題などが書かれているのですが、人材育成のための施策として具体的にあがれられているのが情報処理試験の改訂(2008年秋から)だけというのは、心もとないことこの上ないですね。
試験制度の改定も、別に意味がないとは思いませんが。。。試験制度を変えただけでは焼け石に水でしょう。

高度ICT人材の質・量をあげるためには、業界が魅力的なものなり志望する人が増えて、さらにエンジニアがでスキルを向上させることに意欲を持ち続ける必要があります。
残念ながら記事の中では、その解決策については言及されておらず、記事の最後で以下のような問題提起があげられているのみでした。

もう一つ、見逃せないのがユーザー企業とIT企業の関係の正常化である。例外はあるにせよ、IT企業の技術力を評価せず自らのリスク回避に汲々とするユーザー企業、その無理を聞き、現場を過酷な状況に追い込むベンダーは、必ずしも少数派ではない。そこから脱却し、さまざまな施策を自らの高度化に生かせるかどうか。今、産業界の行動が問われている。

うん。。。その通りだと思います。。。

結局、わかっていてもそう簡単には何ともならないということなんですよね。
私も、トラブル案件なんかがあったりすると、この業界の先行きは暗いと思うことは多々あります。(私はやっていませんが、)受託開発なんかは本当に大変だと思います。

でも、広くIT業界全般と考えたときに、すべての分野は無理にしても、明るい未来を描ける分野もあるのではないかと思います。
やはりそれは、パッケージやサービスの分野ではないでしょうか。
リスクも大きい代わりに、成功した時のリターンも大きいですから。

この業界が魅力的なものになるためには、成功事例が出ることが何よりの良薬でしょう。
マイクロソフトやグーグル並みのものは難しいと思いますが、日本からもソフトウェア・ITを軸にしたベンチャーの成功事例が出てくることを望んでいます。
もちろん、会社として存続・拡大しているという意味でひとかどの成功を収めている会社はいくつかあるのでしょうけど、世界に名を知られ、学生の憧れとなるような会社というと皆無です。

そういう成功事例が出てほしいって愚痴っているだけでは仕方ないので、私自身、それを目指していきたいと思います。