住宅ローンを選んでいて思ったこと

注:以下の日記の内容は、2008年2月〜3月時点での情報をもとにしたものです。

先日、住宅の購入申し込みをしまして、今月末の引き渡しに向けて住宅ローンを検討しました。
フラット35か銀行の住宅ローンかいろいろと悩んでいたのですが、ふと気づいたのが、「銀行の住宅ローンでは最近主流の、当初○年間固定金利」とかいうコースって、すごく利用者に誤解を与えやすいということです。

次の例では、話を具体的にするために、東京三菱UFJ銀行の2008年3月の金利・ローン内容を用います。

たとえば当初5年間は金利1.75%で、その後は基準金利よりも0.4%低くなる、というローンがあります。

このとき、5年後にも優遇があるのだから、今よりも金利が大きく上がらなければそんなに金利は変わらない(あわよくば下がる)と思ってしまう消費者がいるのではないかと思うのです。
(正直、私もそう勘違いしかけていました)

実際はそうではなくて、当初5年間の金利1.75%というのは、基準金利よりも1.5%優遇されたものです。つまり、現時点での基準金利は3.25%です。そのため、仮に今と金利が変わらなかったとして、5年後には0.4%優遇されても2.85%となってしまうのです(再度、5年固定を選んだ場合)。

はたして、2年とか5年とかという当初期間金利固定の住宅ローンを選んでいる人は、皆さんこのことをわかっているのでしょうか?

みずほ銀行の2008年2月の金利では、当初2年固定では1.2%という超低金利です。しかし、そこから金利が変わらないとして2年後は1.9%(基準金利2.9%-優遇1.0%)なので、金利が上がって2%を超えてしまう可能性がかなりあります。
当初1.2%というのに食いついて、2年後に2%以上になっていたらけっこうショックだと思いますが...(まあ、2%そこそこだったら十分低いといえる範囲なのでいいのですが、もっと大幅に高くなる可能性だってあるわけですし)

小飼弾さんにみたいに、1年半で完済できるようなマッチョなら、それでもいいのでしょうけど。


まあそれでも、銀行の住宅ローンのページを見ると、当初の固定期間は優遇幅があるんだということをしっかりと明記はしています。だからこそ私は上記のことに気づけたのですが、そこまでちゃんと見ない人も多いのではないかということが心配です。

というのも、住宅ローンって銀行が説明するだけじゃなくて、不動産屋が説明することも多いです。

私も、不動産屋が「資金計画書」なるものを作ってくれたので、それを見ました。諸費用の部分はよく知らなかった部分なので参考になりましたが、返済金額のシミュレーションは、当初の金利での返済額が示されているだけです。これを見たら、安いところに安易に食いつく人がいてもおかしくありません。

そう考えると、フラット35で全期間固定金利にするのも、かなり有力な選択肢になってきます。
扱っている業者によっては、3%を切る金利で提供されていますし。
(ただし、金利の安いSBIモーゲージ楽天は、最初に支払う事務手数料が高いことには注意する必要があります)

さて、そんなことを考えた私が最終的に選んだ住宅ローンは…

三菱東京UFJ銀行の、「特別金利キャンペーン(当初固定10年)」です。

これだけ言っておいて銀行のローンかよ、と言われそうですが、私がこれを選んだのは以下の理由からです。

  • 当初期間がそれなりに長い割には、金利が抑えられている(2008年2月では1.85%でした。3月に2%になってしまいましたが)
  • 当初優遇期間が終わった後の優遇幅が大きい(1.0%)
  • 一定の条件を満たせば、保証料が無料になる(私は満たすことができました)
  • 給与振込口座を三菱東京に持っていること、などの条件がいくつかあるのですが、たまたまそれらの条件をすべてクリアしていた

もちろん、10年後に金利が上がるリスクは承知の上でして、以下のようなスタンスで資金繰り・ローン返済をしていこうと考えています。

  • フラット35に比べて返済が軽減されている分は、繰り上げ返済に回す。
  • 当初10年間は、税金が控除されるというメリットもある。その控除分と低金利を活用して当初10年間でかなりの繰り上げ返済をできれば、最初からフラット35を使っているよりもその後の返済を楽にできる可能性も十分にある(あわよくば、10年間で返済しきってしまいたい)。
  • もし、5年後とかに金利が上がってきているのであれば(この場合、10年後に金利が引き上げられる公算が高くなってきているということだが)、繰り上げ返済を積極的に行うのではなくしばらく資産運用をしてから、優遇期間が終わる直前にまとめて返すことも考える。


上記のことを考え、フラット35よりもリスキーだけれども十分にやっていけると判断して、これを選びました。

ここで重要なのは、フラット35の金利でも十分に返済できるけれども、リスクを考慮した上であえて上記の方針を選んだということです。

そこまで考えずに短期の固定期間ローンを組んだ人が、数年後に資金繰りに行き詰るのではないかということが心配です。

短期の固定金利で返済に余裕がない状況だとすると、数年後に金利が上がっても返済できるためには、給料が上がっている必要があります。しかし、昨今の情勢では年功序列での昇給なんて前提はあり得ません。

ローンには審査があるのだから、借りられるということは銀行が返済能力を認めているということでは?と思う人もいるかもしれませんが、私にはそうは思えません。

住宅ローンの場合は、住宅が担保になっていることが何よりの証拠です。銀行からすれば、ある程度の人は返済しきれるけれども、返済できない人もいる。返済できない人の分は、担保の住宅の売却金と保証料でペイできれば良し、というところではないでしょうか。もちろん、返済できない人が多すぎれば破たんするので、そうならないために審査があります。しかしそれは、すべての人の返済能力を信頼しているわけではないはずです。

アメリカのサブプライムローンの問題は波紋を呼びましたが、日本でも、昨今の低金利で短期固定金利のローンを組んだ人が数年後に破たんしていくということがなければいいのだけれども、と思ってしまいました。