IT業界に抱く漠然とした理想

IT業界で働くということについて憧れのイメージを持ったのは、大学生の時だった。

授業で紹介された本で、「新・電子立国 6 コンピューター地球網」という本を買った。先生がこの本を紹介したのは、暗号化技術について書かれた章があって、それを読ませたかったからだった。しかし、何となく買って読んだその本で私の心をつかんだのは、暗号化技術などではなく、ネットスケープについて書かれた章だった。インターネットの黎明期に、WWWとHTMLの可能性を感じ、ネットスケープの開発に邁進した創業者たちの情熱とサクセスストーリーは、私の心を躍らせた。
その本を読んだのは1997年、大学3年の時だったと思う。

そして、「将来はベンチャー企業の技術部門の責任者として活躍したい」という理想を抱いて就職したのが2001年。
それから早くも6年が経った。

入社当時はマザーズ上場直後でまだまだベンチャーだった会社も、今では中堅と言われるようになった。
私自身もそれなりに厳しい状況を乗り切ってきたと思うし、今、開発部長というポジションについていていい経験もできていると思う。

ただ、昔思い描いていた「技術と情熱で、世の中を変えるような製品を出したい」という理想とはなんか違うかなぁ、という思いもある。

最近(数ヶ月くらい前から)、そんな思いを再燃させたのが、「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」と「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」だった。
グーグルのサクセスストーリーには、昔ネットスケープの話を読んだ時と同じような高揚感があり、やっぱり自分の理想はこういう姿にあったんだな、と改めて感じた。

それ以来、会社の一員としての自分だけでなく、広い世の中の一人のエンジニアとしての自分というものを強く意識するようになってきている。